英語が話せない

TOEICハイスコアの社会人メリットは?就職や昇進・転職、海外出張での仕事

TOEICでハイスコアを取るためには500時間、1000時間といった長い学習時間が必要です。長い学習を続けていると勉強成果がTOEICのスコアに反映されず、モチベーションが落ちるときがあります。しかし、TOEICでハイスコアをとることにはどのようなメリットがあることを知ると学習のモチベーションを維持することができます。

特に社会人生活であれば、本業で忙しいなかでわずかな時間を削って勉強することになるため、常にモチベーションを高く保っておくことが大切です。

そこでこのページでは、TOEICで高得点を取ると具体的にどのようなメリットがあるのかについて、就職や昇進・転職、海外出張を例に解説します。

海外の一次情報に触れることができる

英語がビジネスレベルで読み書きできることで、日本語だけではなく、海外の一次情報に触れることができるようになります。日本に入ってくる海外の情報は翻訳されていますから、原文のニュアンスが必ずしも正確とはかぎりませんし、内容も抜粋されてしまうことがあります。

また、翻訳された海外のニュースの全文を読む場合、つづきを読むのに有料というページをご覧になった方もおおいでしょう。ただ国内では有料で配信されているようなニュースでも、英語版では無料で配信されていることもあります。

翻訳された書籍でも原書のほうが価格は安いですし、より著者のメッセージを直接受け取れるため、得られるものが大きくなります。

業界の最先端の情報を取得することができる

なお、最先端のビジネス動向は日本だけを見ていてもつかむことができません。日本で流行するものは、海外で流行ってから数年後に日本に輸入されるものがほとんどです。

私が勤務している金融業界を例に出しますと、個人向けの長期的な資産形成手段として用意されている金融商品はすべて海外、とくにアメリカで発明されたものがほとんどです。

個人投資家の資産形成のため、積立投資、ETF、確定拠出年金、NISAといった金融商品が導入されました。これらのしくみはすべてアメリカでは、日本で一般的になる10年以上も前から当たり前に導入されていた商品です。それが遅れて日本に導入されたのです。

このように、海外で何が起こっているかを知ることにより、今後日本で何がはやりそうかということをいち早く知ることができます。

英語での情報量は日本語の10倍

日本語を話すのは、世界でほぼ日本人だけであり、話者は約1億2千万人です。一方で英語はアメリカ・イギリス・オーストラリアといった第一言語のほかに、インドなど第二言語として使われている国を含めると約15億人以上が話している言語といわれています。

話している人が10倍いるため、単純に考えて流れている情報量も10倍といえます。これがインターネットの世界では、さらに傾向が顕著といえます。英語が標準言語となっており、英語がわかればアクセスで切る情報量が飛躍的に増えます。

例えば専門家が自分の専門分野について、プレゼンテーションを通じて知識を共有してくれるTEDというセミナーがあります。このプログラムは世界中の人に向けて配信されており、学習方法など仕事に役立ちながら、教養を深めることができるコンテンツが無料にて英語で配信されています。

(出典:TED)

中には、日本語の字幕がついているものもありますが、基本的には英語でのプレゼンテーションのため、言葉のニュアンス、間の取り方、ユーモアの使い方など英語がわかっていた方が得るものが大きいです。

英語であればより精緻な資料を作ることができる

また、英語をビジネスレベルで使いこなせることにより、詳細な情報を作ることができます。世界の動向を参照する資料を作るためには、英語で文献や資料を確認する必要があります。

こうした海外の情報は日本語でもある程度入手できますが、誰かが英語で調べた情報が日本語にまとめられているものであり、情報の量・鮮度で英語版よりも劣ります。最新情報を得ようと思えば、英語で調べる必要があります。

例えば以前、私は仕事で東アジアおよび東南アジアの証券・金融市場の制度について調べる機会がありました。日本の株式市場における取引や決済制度とアジア諸国のそれを比較し、当社のビジネスモデルを海外に輸出する、または海外の事業者と提携することが可能かどうかを調べるためです。

それぞれの国の証券取引所は、自国の株式市場の取引制度や決済制度に関する情報を掲載していますが、現地語または英語での説明となるのが一般的です。以下は中国・上海証券取引所の決済制度に関する説明です。

(出典:上海証券取引所ウェブサイト)

そこで私は、最新のデータを取得するため、英語で各証券取引所のウェブサイトにアクセスし、制度の概要を調べレポートとしてまとめました。

TOEICでハイスコアを取っていると、ビジネス関連の英語を読むスピードが速くなり、英語を読むことが苦になりません。結果、短時間で私は資料を作成することができました。

このようにTOEICでハイスコアを取るだけの実力があれば、より多くの最新情報に接することができます。

英語を使えれば会社で昇進しやすくなる

ビジネスレベルの英語を使う仕事は難易度が高いので任せられる人材が少なく、社内において希少価値の高い人材として評価されます。

どんな企業でも花形の仕事というのがあり、そこに配属されれば、普通に仕事をしているだけでも評価されやすい部署というのがあります。一度希少価値が高く、将来を担うべき人材だと評価されると、重要部署での仕事が回ってくるようになりますから、自然と出世しやすくなるのです。

例えば、歴史のある大企業会社であれば、本社の財務部門、経営企画部門、人事部門といった管理部門は、それまでの実績が買われ、将来の出世が期待される人が配属されることが多いです。こうした部門の仕事は、管理部門として全社の状況を見ながら仕事をすることが求められます。

責任が重い業務ではありますが、社会人としての視野を広げることができますし、将来的にこうした管理部門での経験が評価されることが多いです。

TOEICスコアを昇進の判断としている会社は多い

なお、大企業の中には、会社の昇進の参考としてTOEICスコアを利用している会社があります。TOEICを主催するIIBC(国際ビジネスコミュニケーション協会)によりますと、約40%の企業が管理職への昇進時にTOEICスコアを参考情報として利用しているというデータがあります。


(出典: 英語活用実態調査2019)

求められるTOEICのレベルは600点程度ですから、積極的に英語ができる人を登用するための基準ではなく、英語を勉強していない人を振るい落とすための基準として使われている可能性が高いです。

また、TOEICで600点程度のスコアがあれば、英語でメールなどの業務対応ができることを証明することができるので、英語を実際に使う可能性がある会社では上図のアンケート結果の通り、昇格要件としてTOEICのスコアを参考にしているのです。

もちろん中小企業であっても、TOEICを持っていることで英語を話すことをアピールすることができます。取引先が海外に進出することにともない海外進出するなど、海外取引先との交渉が増えている会社では、特に重宝されます。

中小企業では大企業と比べて英語を話せる人材が少ないので、実務経験に加えて英語が話せることで、より評価されやすくなります。

専門性の高い仕事を担当できる

TOEICでハイスコアを取っていると専門性の高い仕事を任されることになります。

私の場合は、海外出張をする部署で3年間勤務したのち、英語と社内実務の能力を評価されて法務部に配属されています。法務部門では、社内の実務経験に加えて海外含め契約書のチェック、マネーロンダリング(犯罪で得られた収益が他者に移転するような取引)防止等のための顧客調査を担当することになりました。

たとえば、海外の取引先との契約交渉の場合、交渉相手との間で英語にて契約書の修正案を送付しあい、少しでも自社に有利なような内容にするよう交渉します。詳細な点を間違いなく確認するため、ウェブ会議で英語で話し合うこともしばしばあります。

要は、会社が利益を出せるように契約書を締結する役割を求められるのです。そして、こうした業務を担当するには会社の業務に関する十分な知見を有していることに加え、法律的な考え方、TOEICで800点を超えるレベルの英語を使いこなすことが必要です。

結果として、英語がビジネスレベルで使うことができ、コンプライアンスやリーガルに関する実務経験を持っている人は少ないですから、人材としての希少価値が上がり、転職時にはいい条件のオファーを受けることができるようになります。

以下は私が転職サイトに登録した際のオファーです。

法務部門に所属してからは、オファーの数が増え、給与水準もあきらかに100万円は上がりました。業界知識、TOEICでのハイスコア、リーガル部門での実務といった条件が重なれば、好待遇で転職することが可能になります。

就職・転職にもTOEICの点数は有利

もちろんTOEICでハイスコアをとることは、昇進に限らず就職や転職においても有利です。例えば新卒で就職活動をする場合には、TOEICスコアが選抜の対象になることがあります。

TOEICでハイスコアを取ることのメリットは、英語が話せるということだけではなく、一定期間地道に努力を続けることができるということを外部に証明できることになります。サラリーマンの仕事は定型化された仕事が多く、単純な仕事も多いものです。

そうした仕事が割り当てられた時でも腐ることなく淡々と仕事ができるか。TOEICで800点以上のハイスコアをもっているということは、遊ぶことを我慢して500時間、1000時間といった時間を地道な英語学習に費やしてきたことの証明でもあります

就職活動にTOEICのスコアを参考にする会社は4割

それでは、どれくらいの会社が就職でTOEICのスコアを重視しているのでしょうか。TOEICを運営しているIIBCの調査によりますと、以下の通り約5割の会社が参考にしています。

(出典: 英語活用実態調査2019)

新卒採用は基本的にポテンシャル採用なので、学生の今の姿だけを見て採用を決めるわけではありません。しかし、努力してきた結果がわかりやすく示すことができればそれに越したことはありません。

そのアピール方法の一つがTOEICです。「私は地道に努力することができます。実際にTOEICでこれだけ成果をだしてきました、だから御社に入社してもこれまでの経験を活かして努力を続け、仕事で成果を出します」とわかりやすくアピールすることができるのです。

・大手企業を狙うならTOEICのスコアは高い方がいい
参考までに大手企業を狙っているのであれば、TOEICで700点以上のスコアを取っておいたほうがいいです。大手企業に就職を希望する学生は一流大学が多く、TOEICでハイスコアを持っている学生が多いからです。

実際に私が勤めている金融会社でも、最近入社してきた若手社員はTOEICスコア800点以上をとる職員がほとんどです。大企業では企業側がどの学生を採用するか選択することができるため、同じ優秀な学生であれば英語もできる学生を取りたいと思うのは自然なことです。

社会人の転職時に英語は有利

転職を考えているときでも、TOEICでのスコアが役立ちます。キャリアアップのため、転職を考えているとします。このときTOEICでハイスコアをとっていれば、英語を利用した業務で活躍することが期待できるので、採用されやすいのです。

例えば以下はある翻訳会社の求人案内です。

(出典:リクナビNEXT)

黄色でハイライトした通り、未経験者でもTOEICでハイスコアさえあれば転職できる職務です。

英語で業務対応ができることをアピールすることで、経験不足であるというハンデキャップを埋めることができるのです。

・特に外資系企業への転職で有利
特に外資系企業に転職する場合には、ビジネスレベルで英語を使えるほうが上司へアピールできる機会が増えます。外資系企業は雇用を重要視しておらず、業務に不要となった社員は雇いつづけません。その分雇用維持のコストがないので、給料が高くなる傾向があります。

要は、英語を含めた高い能力が求められます。参考までに私が転職サイトで自分の経歴を入力してみたところ、以下のようなオファーをもらいました。

これは当時私の担当業務とほとんど同じような仕事内容でしたが、「年収1,000万円+ボーナス」と当時の私の年収よりもいい条件でした。このように、今の職務内容を英語でこなすというだけで、年収が数百万円上昇するチャンスがあります。

語学力が買われ、海外出張にいく機会が増える

さらに英語がビジネスレベルでできる場合、海外出張に行く機会が増えます。国内出張は日本語ができれば誰でもチャンスがありますが、海外出張の場合には英語ができることが前提条件となります。

特にTOEICで高い点数を取ることができれば、ビジネスの現場で英語が使えることを証明できますから、出張するスタッフとして選抜されやすいです。

私が勤務する金融会社でも、海外出張にいく職員は皆TOEIC800点以上とハイスコアをもっている職員ばかりです。

海外出張は様々な経験を得られるチャンス

なお、海外出張は仕事ではありますが、業務時間外で様々な経験をすることができます。私の場合はジャカルタ出張での仕事終了後、現地のレストランでローカルフードを楽しんだほか、ジャカルタの喧騒の中ドリアン市場を見物したり、現地のスーパーマーケットを散策したりと、現地の生活を垣間見ることもできました。

(ジャカルタ・コタ地域のドリアン売り場)

また、インドネシアのジャカルタに長期出張している間、土日はバリ島にいくことができました。ジャカルタとバリはいわば東京ー福岡ぐらいの距離感で航空便も一日何十本も出ており、安いチケットであれば2万円で往復できるので気軽に行くことができるのです。

(バリ島での風景)

このように出張の空いている時間をうまく活用することで、人生の経験値を高めることができます。もちろん、こうした海外部門で活躍していると昇進しやすくなったり、転職時に評価されやすくなったりするのは当然です。

選抜されるにはTOEICでハイスコアを取ったほうが有利

もちろん社会人として入社していきなり、出張のチャンスがある会社は少ないでしょう。仕事ができない職員が出張に行っても何ら会社の利益に役立たないからです。取引先に失礼のないよう基本的なビジネスマナーを身に着けており、かつ仕事の実績があって、初めて出張を任されるようになります。

ましてや海外出張であれば、当然です。つまり、海外出張にいくためには国内での仕事で実績を積んでおり、そして英語がビジネスレベルで使えることが条件となります。

もちろん、国内での仕事をこなしていればチャンスは回ってきますが、選抜する際に英語ができる職員のほうが上司としては安心できます。そして、客観的に英語の実力を図るテストとしてはTOEICが一番有名なので、TOEICでハイスコアを持っていることでライバルに差をつけて海外出張の機会を得ることができます

私の場合、入社してから10年程度は英語を使わない仕事を担当していました。ただ仕事を着実にこなし、TOEICで900点以上のスコアを持っていることを評価されて、英語を使う部署に異動となりました。そこで仕事で実績を積んだことで、10回以上は海外出張に行く機会を得ることができました。

もし、TOEICで英語の実力をアピールしていなければ、英語を使う部署に配属されなかったでしょうし、海外出張のチャンスもありませんでした。

・海外出張でビジネスクラスに乗るチャンス
参考までに、海外出張のおまけとしてビジネスクラスに乗る機会があります。長距離便での移動の場合は体の負担が全く変わってくるため、特に現地でのスケジュールがタイトな場合にはビジネスクラスで移動することで仕事のパフォーマンスを維持できます。また会社としても、ビジネスクラスを出張経費として出してくれます。

私も海外出張で、何度かビジネスクラスを利用する機会がありました。シートが広く、角度を自由に変更することができるので体が楽です。食事もエコノミークラスよりもグレードの高い料理を味わえますし、おいしいワインを飲むこともできます。以下は私がインドネシア・ジャカルタ=羽田便のビジネスクラスに搭乗した際の食事中の一コマです。

 

普通のサラリーマンであれば、プライベートでビジネスクラスに搭乗する機会はあまりないでしょう。TOEICを一生懸命学習することで、このような体験をする機会を得ることもあるのです。

まとめ

社会人がTOEICでハイスコアを取ることで、就職や転職に有利になります。また、「入社に海外出張にいきやすくなる」「専門性の高い仕事を任される」「出世しやすくなる」などの効果が見込めます。

大企業や中小企業に関係なく、TOEICのスコアが高くて損をすることはありません。生活が忙しくても目的があれば、TOEICでハイスコアをとるための英語学習を少しずつ続けることができます。社会人はTOEIC学習のメリットを意識しながら、日々勉強するように心がけましょう。